皮膚ガンの中でも危険度の高い悪性黒腫は、25歳から29歳までの女性では最も多く見られるガンの種類で、さらに30歳から34歳までの女性では2番目に多く見られるタイプです。皮膚ガンによる死亡の80%はこれが原因です。黒腫患者は年々増加する傾向にありますが、よいことに死亡率は低下しています。おそらく人々が自分の皮膚の変化により注意深くなり、頻繁に専門医を訪ねるようになったからでしょう。
3種類存在する皮膚ガンの中でも黒腫は最も深刻なものです。ちなみに、他の2種類は基底細胞ガン(basal cell carcinoma)(頭部、首、手に現れる小さなこぶ)、そして扁平上皮ガン(squamous cell carcinoma)(耳、顔、唇、口に現れるうろこのような赤い斑点)です。悪性黒腫の危険はその進行性にあります。成長が速いのです。ほくろなどのように色素の沈着した(色の黒い)皮膚下に存在するメラノサイトという、黒腫(メラノマ)の語源となっている細胞から、この病気は発達します。メラノサイトはメラニン色素、すなわち皮膚色を濃くする色素を生成します。幸いにも、黒腫はより軽い他の2種類の皮膚ガンよりも発生率は低いのです。
米国では毎年41,000人以上の人が黒腫にかかります。毎年7000人以上が死亡しており、2000年までには90人に1人が黒腫を患うことになるだろうと米国ガン協会は予測しています。
肌や目の色の薄い人は黒腫になるリスクが最も高いのですが、しかし肌の色が濃くても全くリスクが無いわけではありません。肌色が濃いと、手のひら、足の裏、爪の裏側、あるいは口内に発生する可能性があります。また、肌にあるほくろの数の増加にともないリスクも高くなります。他にも過剰に太陽に当たるとか、そばかすがある、極度の日焼け(18歳になる以前に、一度ひぶくれになるほどのひどい日焼けを経験しているだけで、皮膚ガンにかかるリスクが倍増します)、標高の高いところに住む、多脂肪かつ抗酸化効果のある野菜の少ない食生活、そして家族にも黒腫にかかった人がいる、などが黒腫のリスク要因となります。
米国ガン協会によれば、黒腫は20年から30年の潜伏期間があると言われています。例えば幼児期、あるいは青年期にひどい日焼けを経験した場合でも、何十年後かに黒腫を発病する可能性があります。
別のリスク要因として、ニューイングランド医学ジャーナル(New England Journal of Medicine)に掲載された研究によると、乾せん患者で植物性化学療法(ソラレンという薬物を使用し、さらに紫外線Aの放射線にさらす治療法)を受けた人は、将来的に黒腫になるリスクが増えるという結果が出ています。
黒腫にかかると、まず始めに皮膚にぼんやりとしたむらが現れるので、見覚えの無いしるしが現れたら専門医に見せたほうがいいでしょう。黒腫の徴候は、イボあるいはほくろの色、大きさ、そして形の変化、肌の一部が乾燥してうろこ状になる、完治しないにきびや炎症、などがあります。さらに、ほくろでも様々な色に見えるもの、あるいは境界が不規則なのも疑わしいでしょう。以下は要注意点です:
米国皮膚科学アカデミー(The American Academy of Dermatology)は、定期的に皮膚の自己診断を勧めています。等身大の鏡、手鏡、そして照明があれば行なうことができます:
連邦ガン研究所ジャーナル(Journal of the National
Cancer Institute)に発表された研究によると、ガンは早期発見が生存のカギとなるので、皮膚の自己診断を行なえば黒腫からの死亡率をなんと63%も減少させることができるといいます。進化した黒腫に対する治療が遅くなれば、生存の可能性も低くなります。
ジェームズ・バルチュ医師(James Balch、MD)とフィリス・バルチュ氏(Phyllis Balch、CNC)はその共著「Prescription for Nutritional Healing」の中で、黒腫患者に対して次のような食生活とサプリメントを勧めています。まず低脂肪食品、混合カロチノイド(にんじん、サツマイモ、ブロッコリに含まれる)も含む抗酸化栄養素豊富な食品、そしてビタミンEの豊富なアスパラガス、小麦胚芽、ナッツ類。サプリメントに関しては以下を勧めています:
故マックス・ガーソン医師(Max Gerson、MD)(1881―1959)は自らの偏頭痛を食事療法で治しました。1920年代後半、患者のひとりがガーソン氏の食事療法によって「肌」結核が治ったと主張し、ガーソン医師は食生活が免疫力を高める可能性について調べはじめました。そしてノーベル賞受賞者であるアルバート・シュワイツァー博士(Albert
Schweitzer、MD)の妻が、当時の通常医学では治らなかった結核を患った時、彼の食事療法によって完治し、それ以来博士と友人関係を結びました。
ガーソン医師は、ガン患者の体内には余分なナトリウムの蓄積があると考え、ガンのための食事療法を開発しました。ガンは、ある程度ナトリウム過剰とカリウム不足が原因であると彼は判断しました。ナトリウムは酵素の働きを抑制し、そしてカリウムが酵素を活性化するという考えを基に、黒腫患者には低脂肪の菜食、そして1時間に1度新鮮な果物か野菜のジュースを飲ませました。食事プログラムは有機自然食品を中心に、塩、動物性食品、タバコ、コーヒーとお茶(カフェインを含む飲み物を避ける)、アルコール、精製された砂糖と粉、加工食品や缶詰、そしてチョコレートを禁止しました。また、サプリメントとしてペプシン(消化酵素)、カリウム、ヨウ素、ニコチン酸、すい臓酵素、そしてビタミンCを摂らせました。(現在では、多くの専門家は抗酸化物質を含むお茶を勧めています。特に緑茶は抗酸化フィトケミカルを豊富に含んでいます。)
どのようなサプリメントを摂るにしても、黒腫と思われる場合は肌の治療に詳しい専門医に診てもらいましょう。自分で治療しようと思ってはいけません。
一般的に過度に太陽の下で時間を過ごし、紫外線を浴びることが黒腫の原因と考えられています。黒腫のリスクを減らすためには:
太陽は地球全体に紫外線を放っています。最も危険な紫外線は地球の大気圏によってフィルターされていますが、UV線は標高の高い所など、大気の薄い場所では強烈です。
研究によって、UVAとUVBの2種類のUV線が肌に悪影響を及ぼすことが明らかです。UVBは日焼けや日焼けからおこるやけどの原因となります。UVAは波長が長く、より深く肌に浸透して表面下の細胞に害を及ぼします。研究者はこのUVAの害が黒腫につながると見ています。
最近の研究では、日中の太陽光線から肌を保護するために日焼け止めだけに頼るのでは、効果が疑わしいとしています。日焼け止めとともに、保護効果のある衣服を着、さらに正午頃は外に出ないように研究者は主張しています。
ガンと同様、皮膚ガンの多くは予防できます。残念ながら、疾病管理予防センター(Centers for Disease Control and Prevention)および米国皮膚科学アカデミー(American Academy of Dermatology)による1,001人の成人対象の調査では、幼児期の極度の日焼けが黒腫のリスクを高めること知っていた米国人はたった58%でした。そして皮膚ガンの徴候を識別することができたのは、たった26%でした。
日焼け用の電灯のUV線は太陽光線と同じくらい危険です。だから、太陽と日焼けサロンの両方を避けましょう。
さらによいことに、最も強烈な太陽光線を浴びないようにすれば、肌のしわを減らし、長い年月若く見えることができるのです。
黒腫にかかったら、インターネットが情報とサポートを提供します。
黒腫掲示板 http://www.sonic.net/-jpat/getwell はアドバイス、疑問に対する答え、同情的な聞き役を求める人からのメッセージでいっぱいです。このバーチャル安息地で、黒腫の宣告を受けた人たちは心を通わせ、治療法や専門医、情報を得るための本、ジャーナル記事、そしてウェブサイトについて情報や意見を交換しています。
他の情報源としては:米国皮膚科学アカデミー(The American Academy of Dermatology (http://www.aad.org) 888-462-DERM))、米国ガン協会(the American Cancer Society (http://www.cancer.org 800-ACS-2345))、そしてガーソン・インスティチュート(Gerson Institute(888-4-Gerson))があります。